高齢化社会に向けた最新AI技術とは|CES 2025で示された〝エイジテック〟の未来

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世界最大のテクノロジー見本市・CES (Consumer Electronics Show )が2025年1月7日から10日まで米国ラスベガスで開催されました。最新の技術革新や製品を展示するイベントとして知られ、AIやデジタルヘルス、持続可能性といった幅広いテーマが取り上げられました。

その中で注目を集めた一つが、高齢化社会に対応するための革新的な技術や製品群、いわゆる「エイジテック(AgeTech)」です。
世界的に高齢化が進む中、これらの技術は高齢者の生活の質を向上させるだけでなく、介護者や社会全体の負担を軽減させることが期待されています。

CES 2025で発表されたエイジテック関連の最新技術や製品をピックアップし、それらが高齢化社会の課題解決にどう貢献するのか‥‥などについて紹介します。


目次

高齢化社会の課題とエイジテックの必要性

世界的に進む高齢化

高齢化は世界的に進行していて、各国はこれにどう対応するかという問題に直面しています。
特に日本は「超高齢社会」と呼ばれる段階に突入しており、2023年時点で65歳以上の高齢者が全人口の29%を占めています。
これは世界で最も高い水準で、他の先進国と比較しても突出しています。国連の推計によると、世界全体でも高齢者の割合は2023年に10%に達し、2050年には16%に増加する見通しです。

高齢化の進行は、医療費や介護費の増大、介護従事者の不足、労働力人口の減少といった社会的課題を引き起こしています。日本では、現役世代が減少する中、1人の高齢者を支える現役世代の数が2065年には1.3人にまで減少すると予測されていて、持続可能な社会システムの構築が急務となっています。

拡大するエイジテック市場

そうした中で注目されているのが「エイジテック(AgeTech)」です。
エイジテックとは、高齢者の生活の質を向上させるためのテクノロジーを指し、健康管理、介護支援、孤独感の軽減、自立支援など、幅広い分野で活用されています。

エイジテック市場は急速に拡大していて、2024年には137兆円規模だった市場が、2029年には173兆円に達すると予測されています。さらに、グローバル規模では2025年に約300兆円に達するとも言われており、少子高齢化が進む国々にとって重要な産業分野にもなっています。

CES 2025で注目された技術

それでは、CES 2025で注目されたエイジテックの技術を見てみましょう。

介護の効率化を実現

旭化成エレクトロニクスが発表した「スマートおむつ」は、排尿を検知して介護者に通知する機能を備え、介護の効率化を実現する技術として高く評価されました。
また、TDKが開発した「スマート白杖」は、AIを活用して障害物を検知しながら目的地まで誘導する機能があり、高齢者や視覚障害者の移動をサポートする画期的な製品として注目されました。


A Iやセンサー技術を活用

健康管理分野では、AIやセンサー技術を活用した製品が多く発表されました。
例えば、旭化成エレクトロニクスの「ミリ波レーダー技術」は、高齢者の転倒や異常行動を検知し、迅速に通知するシステムを提供します。また、Starling Medicalのトイレ用デバイスは、尿を自動的に検査して尿路感染症を早期発見する機能があり、健康管理の効率化に寄与します。

高齢者の自立を支援

高齢者の自立支援技術も注目されました。
Jizaiが開発した「Mi-Mo」は、家庭内でのサポートを目的としたカスタマイズ可能なAIロボットで、家事の補助や健康状態をモニタリングします。また、TDKのスマート白杖のように、移動をサポートするデバイスも高齢者の自立を促進します。

認知症の人の孤独感を和らげる

感情的なサポートを提供するロボットも多く展示されました。
Tombotのロボット犬「Jennie」は、認知症の人の孤独感を和らげ、ストレスを軽減する効果が期待されています。こうしたロボットは、高齢者の精神的な健康を支える重要な役割を果たします。


バーチャルツインを活用

ダッソー・システムズが提案する「バーチャルツイン技術」も注目を集めました。
この技術は、人体や生活環境をデジタル上で再現し、健康管理や治療計画の最適化に活用されます。
例えば、遠隔医療や治験支援において、バーチャルツインを活用することで、より正確で効率的な医療サービスが提供可能になります。


エイジテックの課題と未来〜誰もが年齢を重ねていく

こうしたエイジテックが実際に普及すれば、さまざまなメリットをもたらすことが期待されています。
しかし普及には、いくつかの課題もあります。

その一つは、高齢者が新しい技術を受け入れる際の心理的ハードルや、製品のコストの高さです。
技術の導入に伴うプライバシーやセキュリティーの問題にも対処する必要があります。

ただ、こうした課題はあるにせよ、エイジテック市場は今後も拡大が予測されています。
課題を少しづつ克服していけば、より多くの高齢者が恩恵を受けることになります。企業や国、地方自治体、地域社会が連携し、技術の普及を促進するための取り組みも求められます。

高齢化は、いずれ誰もが向き合います。
これらのテクノロジーが進化、発展することによって、ひとり一人の生活がより良いものになることを願います。


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この記事を書いた人

会社をリタイアし、同世代の方に役立つ情報発信を目指しています。

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