トランプ前米国大統領が、2024年11月の大統領選挙で当選したら(いわゆる「もしトラ」)、仮想通貨(暗号資産)業界の未来が大きく変わるのではないか、と言われています。
仮想通貨に明るい未来が開かれていくのでしょうか‥‥。
共和党は「仮想通貨の『弾圧』を停止する」
米共和党は7月の全国大会で、トランプ氏を党の大統領候補に正式指名するとともに、政策綱領(事実上の選挙公約)を採択しました。
この中で、イノベーションの分野において、仮想通貨の「弾圧」を停止するとしました。
仮想通貨は〝弾圧〟されていたんですね‥‥。
トランプ氏の仮想通貨観は劇的に変化
トランプ氏の仮想通貨に対する見解は、過去数年で劇的に変化しました。
かつては「詐欺」と批判していたビットコインについて、現在は仮想通貨業界により肯定的な姿勢を見せています。
彼は「仮想通貨企業やこの新しく成長している業界に対して非常に前向きで開かれた心を持っている」と表明。
自身のブランドのNFT(非代替性トークン=仮想通貨と同じブロックチェーン技術が基盤)セットを立ち上げるなど、積極的に関与する姿勢を見せています。
規制は緩和されマイニングは保護される?
トランプ氏が再び大統領に就任すると、これまでの発言などから、次のような仮想通貨政策が実施される可能性が言われています。
- 規制緩和=「違法で非アメリカ的な暗号資産の取り締まり」を終わらせる
- ビットコインマイニング(採掘)の保護=ビットコインをマイニングする権利を守る
- セルフカストディの権利保護=すべてのアメリカ人がデジタル資産のセルフカストディ(購入した仮想通貨を自分のウォレット〈財布〉に保管すること)を行う権利を確保する
- CBDCへの反対=中央銀行デジタル通貨(CBDC)の創設に反対する
- 業界リーダーシップの追求=「米国は急成長する仮想通貨業界のリーダーでなければならない」と述べており、業界の発展を支持する
考えられるメリットは
トランプ氏の政策が実現したら、具体的にはどのようなメリットが考えられるのでしょうか。
可能性としては次のことが言われています。
- イノベーションの促進=規制緩和により、仮想通貨企業はより自由に活動できるので、新しい技術やサービスの開発が加速する
- マイニング活動の活性化=ビットコインのマイニングが保護されることにより、米国内でのマイニング活動が活発化し、関連する経済活動も盛んになる
- 個人の金融自由度の向上=セルフカストディの権利保護により、個人が自身のデジタル資産をより自由に管理できるようになる
- 市場の反応=トランプ氏が選挙戦で有利だと伝えられると、ビットコインの価格が上昇するなどしており、市場にポジティブな影響を与える
デメリットはないの?
一方、デメリットもないわけではありません。
これも可能性としては次のことが言われています。
- 規制の不確実性とリスク=過度な規制緩和は、消費者保護や金融システムの安定性に対する懸念を引き起こす
- 政治的対立の激化=仮想通貨に対する政策が政治的な対立を深める可能性があり、これが政策の一貫性や実行可能性に影響を与える
- 国際的な競争とリスク=米国の仮想通貨業界を支援する一方で、他国との競争が激化し、国際的な規制環境の変化に対応する必要が生じる
- 市場のボラティリティー(価格変動)=政策の変更や規制緩和が市場の急激な変動を引き起こすリスクがある
- セキュリティーと詐欺のリスク=規制が緩和されることで、詐欺やサイバー攻撃のリスクが大きくなる
長期的な視点でウォッチしたい
トランプ氏の仮想通貨政策は、業界に大きなチャンスをもたらす可能性がある一方で、慎重なリスク管理とバランスの取れた規制が求められています。
仮想通貨業界は、政治的な変化に敏感に反応する可能性が高く、2024年の大統領選挙の結果は業界の未来に大きな影響を与えるかもしれません。
定年後世代を含めて、投資に関心のある方は、大統領選の行方も注視しつつ、長期的な視点で仮想通貨市場をウォッチしてはいかがでしょうか。